基礎知識

個人間の金銭トラブル(貸したお金の回収)予防:金銭消費貸借契約書の書き方

友人・知人、親族・親戚に頼まれるなどしてお金を貸すことは、金銭消費貸借契約という法律行為です。

ここでは、金銭消費貸借契約とは何か、個人間の金銭トラブルの一般的な予防方法など、基礎知識を解説します。

金銭消費貸借契約とは

お金を貸す(借りる)、つまり、金銭消費貸借契約とは、借主が、貸主に、①借りたお金と同額のお金を返すことを約束して、②お金を受け取ることをいいます。

金銭消費貸借契約の本質的な要素は、とてもシンプル、この2つだけです。

いつ返すかなどの返済時期・返済期限や、一括返済か分割払いかなどの返済方法は、本質的要素ではありません。

また、利息や保証人をつけるかについては、本質的要素でないどころか、それぞれ利息契約、保証契約という別の契約とされています。

個人間の金銭トラブルの一般的な予防方法

■ポイント■

①お金を貸す際には、契約書などを作る

②お金の貸し借りは、銀行等の口座振り込みを利用する

 

個人同士のお金の貸し借りは、友人・知人同士、親族・親戚同士など、前提として一定の人間関係・信頼関係があることが一般的です。

ですが、このような人間関係・信頼関係があるために、思わぬトラブルになることがあります。

① お金の貸し借りの内容があいまい・不明確

☑借りたのではなくもらった、返す必要はないと言われた

☑借りたけれど、返した

☑返すのは出世払いでいい(いつでもいいなど)と言われた

これらは、人間関係・信頼関係が前提にあるために、口約束などでお金を貸したとき、お金を貸したこと、貸した金額・返してもらった金額、返済期限が不明確・あいまいであるために生じるトラブルです。

② 金銭消費貸借契約の貸主と借主であるという認識が低い

☑返済が遅れても、許してくれる

☑返さなくても、謝ればなんとかなる、裁判沙汰など大きなトラブルにはならない

人間関係・信頼関係が前提にあるため、お金の貸し借りが金銭消費貸借という契約であること、この契約においては貸主と借主という関係にあることの認識や返済意思が低くなりがちです。

このようなトラブルを防ぐためには、契約内容と取引の履歴を、明確にしておくことが大切です。

その方法として、とても簡単な方法があります。

☑お金を貸す際に、契約書などを作成する

☑お金を貸す、返済を受ける際は、銀行等金融機関の口座振り込みを利用する

ことです。

お金を貸すときは、契約書などの書類を作る

友人・知人や親族・親戚にお金を貸すのに、契約書を作るとは言い出しにくいという方もいるかもしれません。

ですが、相手はお金を貸してほしいと頼んできているわけです。とてもシンプルで簡単な書類で大丈夫ですから、貸す側も「契約書を作りたい」と「一筆書いてほしい」申し出てください。

シンプルで簡単な書類とは、先ほど述べた、2つの本質的要素さえ載っていればいいということです。

 例えば、

(貸す側)○○○○殿より、金×××円を、本日、借り受けました。

△年△月△日

  (借りる側) □□□□ 印 

このように相手に書いてもらえば、誰が、誰から、いつ、いくら借りたかが明らかになります。

※「借り受けた」には、借主がお金を受け取ったこと、同額のお金を返す意思があること、両方の意味が含まれています。

返済日など、その他に明確にしておきたい期限や条件があれば、先ほどの文章の後に、それぞれ内容を加えてください。

例) △年△月△日までに、返します。 

 

お金の貸し借りは、銀行等の口座振り込みを利用する

いつ、いくら貸し又は返してもらったか、このような取引の履歴を明らかにしておく方法はいくつかあります。

例えば、領収証を発行・保管する、(現金振り込みの場合)振込明細を残しておく、メモ等取引の履歴を作成するなどです。

けれど、領収証は発行や保管に手間がかかり、紛失のおそれもあります。振込明細も同様です。メモ等貸主が作成する取引の履歴は、借主の認識や記憶と合わないことがあり、正確性に欠けます。

銀行等の口座振り込みを利用して貸付や返済を受ければ、通帳・口座の取引履歴に、相手(相手の銀行口座)との入出金が記帳・記録されます。

別途書類を発行、保管する必要がなく、記録の正確性もあります。携帯やパソコンなどインターネットで振込や口座の履歴を確認できる銀行も増えていますので、これらを利用すれば、ATMや銀行窓口に行く必要もありません。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆ 

個人間の金銭トラブル予防のために、是非、これらの方法のご活用をご検討ください。

それでもトラブルが起きてしまったときは、弁護士への無料法律相談をご利用ください。

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