債権回収の方法には、交渉、訴訟(裁判)、強制執行(差押え)があります。
弁護士が債権回収を行う場合、多くの事案では最初に相手と交渉を行います(ただし、事案の性質等により訴訟や仮差押えを先行させる場合もあります。)。交渉がまとまったときは和解契約書や公正証書を作成し、債権を回収します。交渉がまとまらないときは、訴訟を提起し、判決を取得します。その後、相手の財産に対して強制執行(差押え)を行い、相手の財産を換価し、そこから債権を回収します。
債権回収を行う方法・流れは次のとおりです。
1.交渉
弁護士が債権回収の依頼を受けた場合、まず相手に対し、内容証明にて貸金等の支払いを求めることが多いです(ただし、事案の性質等により訴訟や仮差押えを先行させる場合もあります。)。相手との交渉を行う場合、交渉窓口を弁護士に一本化するため、以後の連絡は弁護士に対してのみ行うよう求めます。
交渉で相手との和解が成立すると、支払金額や支払い方法等を記載した和解契約書を作成します。相手が分割でしか払えない場合は、公正証書を作成することがあります。公正証書を作成することにより、相手の未払いがあれば直ちに(訴訟を経ることなく)強制執行ができるようになります。
2.訴訟(裁判)
相手との交渉が成立しなかった場合(そもそも支払い意思がない場合や相手からの応答がない場合も含みます)、訴訟を提起します。
訴訟を提起することにより、相手との間で任意の支払いに関する協議ができる場合もあります。訴訟中に支払いの合意が成立したときは、裁判上で和解を行います。裁判上の和解は、債務名義となるため、和解で決まったことを履行しないときは強制執行することができます。
裁判上の和解が成立しない場合は、判決を取得します。
なお、判決を得ても、相手が訴訟中に財産隠しをすると、その後の強制執行ができなくなってしまいます。そこで、必要に応じて交渉や訴訟の前に相手の財産に対して仮差押えを行うこともあります。
3.強制執行
公正証書や訴訟等によって債務名義を得ている場合、相手の財産(預貯金、給料、自動車、保険の解約返戻金、不動産等)に対し、強制執行(差押え)を申し立てます。差押えにより相手の財産を換価し、債権を回収します。