一期日審理の原則とは、少額訴訟における審理に関する原則で、少額訴訟の審理については、最初の裁判期日、1回目の口頭弁論の期日ですべての審理を終えようという原則をいいます。
少額訴訟は、請求額が60万円以下の金銭の支払い請求訴訟について、簡易迅速な手続きで迅速に処理できるよう創設された制度です。詳しい用語の解説は、用語集:「少額訴訟」へ
このような裁判手続きの簡易迅速化という趣旨に照らし、少額訴訟の審理は、1回の期日、それも初回の期日で遂げるという原則が設けられています。
この原則を現実的なものとするため、当事者は、その初回の裁判期日の前に、遅くともその期日中に、すべての主張立証を裁判所に提出しなければならないとされています。ただし、事件の内容や当事者の訴訟準備の状況などから、期日が続行(2回目以降も審理が行われること)することは可能です。
また、提出できる証拠も、即時に取り調べ可能な証拠に限られます。
証人尋問も可能ですが、宣誓を省略でき、尋問の順番も裁判官が相当と認める順序で行います。さらに、電話会議の方法で証人を尋問することもできます。
【参考条文】
○民事訴訟法370条 第1項
少額訴訟においては、特別の事情がある場合を除き、最初にすべき口頭弁論の期日において、審理を完了しなければならない。 第2項 当事者は、前項の期日前又はその期日において、すべての攻撃又は防御の方法を提出しなければならない。ただし、口頭弁論が続行されたときは、この限りでない。
○民事訴訟法第371条
証拠調べは、即時に取り調べることができる証拠に限りすることができる。
○民事訴訟法第372条
第1項
証人の尋問は、宣誓をさせないですることができる。
第2項
証人又は当事者本人の尋問は、裁判官が相当と認める順序でする。
第3項
裁判所は、相当と認めるときは、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方と証人とが音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、証人を尋問することができる。