養育費とは、直系血族の扶養義務に基づいて、親などの扶養義務者が、衣食住にかかる生活費や教育費など、子を監護・養育するのに必要な費用をいいます。
父母が離婚する場合、養育費をどのように分担するか、決めなければなりません。養育費をどのように分担し合うかは、父と母の協議によるのが原則ですが、協議では決められないことがあります。 この場合、家庭裁判所に子の監護に関する処分(養育費請求)調停を申し立て、調停で話し合うことができます。調停において話し合いが成立した場合、調停調書が作成されます。調停調書は債務名義ですので、調停に従った養育費の支払いがない場合、強制執行することが可能です。
また、養育費請求の調停が決裂した場合、家事審判に自動的に移行し、裁判所が審判で判断します。審判書も債務名義ですので、調停調書同様、強制執行することが可能です。
なお、養育費を請求債権として給与の差押えを行う場合、給与の2分の1まで差し押さえることが可能です。※通常は給与の4分の1までしか差押えできません。
【参考条文】
○民法877条第1項
直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
○民法766条
父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
※民法766条は、婚姻取消の場合(749条)、裁判上の離婚の場合(771条)、認知(788条)でも準用されています
○民事執行法第151条の2
債権者が次に掲げる義務に係る確定期限の定めのある定期金債権を有する場合において、その一部に不履行があるときは、第30条第1項の規定にかかわらず、当該定期金債権のうち確定期限が到来していないものについても、債権執行を開始することができる。
(1号及び2号 略)
3号 民法第766条 (同法第749条、第771条及び第788条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
4号 民法第877条から第880条までの規定による扶養の義務
○民事執行法第152条第1項
次に掲げる債権については、その支払期に受けるべき給付の4分の3に相当する部分(その額が標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める額に相当する部分)は、差し押さえてはならない。
(1号 略)
2号 給料、賃金、俸給、退職年金及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る債権
(第2項 略)
同第3項 債権者が前条第1項各号に掲げる義務に係る金銭債権(金銭の支払を目的とする債権をいう。以下同じ。)を請求する場合における前2項の規定の適用については、前2項中「4分の3」とあるのは、「2分の1」とする。