確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利は、10年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は10年となります(民法169条1項)。
例えば、債権の発生から4年後に確定判決を取得した場合、そのときから10年後に時効期間が完成することになります。
1.消滅時効の期間
令和2年4月1日、改正民法が施行され、債権の時効に関する規定が大幅に変更されました。ここでは、令和2年4月1日以降に債権が発生し、かつ、その発生原因である法律行為も同日以降にされた場合の債権の消滅時効について解説します。
一般債権の消滅時効について、民法166条1項は、次のとおり規定しています。
①債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき
②権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
①と②のいずれか早い時点で、時効期間が成立することになります。
例えば、債権者が債権の発生から2年後に権利を行使できることを知った場合、そこから5年経過した時点で時効期間が成立します。また、債権の発生から8年後に権利を行使できることを知った場合、②により残り2年が経過した時点で時効期間が成立します。
2.確定判決等を取得した場合
確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利は、権利の確定から新たに時効が進みます。そして、その時効期間は10年となります(民法169条1項)。
例えば、債権の発生から4年後に確定判決を取得した場合、そのときから新たに時効が進むため、判決の確定から10年後に消滅時効の時効期間が完成します。
なお、確定判決と同一の効力を有するものには、裁判上の和解や調停等があります。
参考条文
民法
(債権等の消滅時効)
第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
2 債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から二十年間行使しないときは、時効によって消滅する。
3 前二項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし、権利者は、その時効を更新するため、いつでも占有者の承認を求めることができる。
(人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効)
第百六十七条 人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効についての前条第一項第二号の規定の適用については、同号中「十年間」とあるのは、「二十年間」とする。
(定期金債権の消滅時効)
第百六十八条 定期金の債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が定期金の債権から生ずる金銭その他の物の給付を目的とする各債権を行使することができることを知った時から十年間行使しないとき。
二 前号に規定する各債権を行使することができる時から二十年間行使しないとき。
2 定期金の債権者は、時効の更新の証拠を得るため、いつでも、その債務者に対して承認書の交付を求めることができる。
(判決で確定した権利の消滅時効)
第百六十九条 確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利については、十年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、十年とする。
2 前項の規定は、確定の時に弁済期の到来していない債権については、適用しない。