少額訴訟とは、民事訴訟・民事裁判の1つで、請求額が60万円以下の少額な金銭の支払い請求訴訟について、通常の民事訴訟より手続き等を簡略化した訴訟手続きをいいます。
少額訴訟は、①訴額が60万円以下である、②金銭の支払い請求訴訟について、簡易裁判所に提起することができます。
簡易迅速な手続きのため濫用・濫発されるおそれがあるため、同一原告については、年に10回を超えて少額訴訟を提起することはできません。
少額訴訟では、即時に取り調べ可能な証拠でない限り証拠として提出できず、一期日審理の原則のため、裁判での充実した審理が望めない場合があります。
また、被告は、反訴することもできません。
このような手続き上の制約があるため、訴訟提起にあたって、被告に、少額訴訟によるか、通常の民事訴訟に移行するか選択する自由が与えられています。仮に、被告が簡易裁判所での少額訴訟手続ではなく地方裁判所での通常訴訟手続への移行を求めた場合、訴訟は通常訴訟手続に移行することとなります。このとき、原告は訴訟手続の移行について拒否する権利がありません。
その他、少額訴訟では、審理の手続きや判決内容など、通常の民事訴訟と異なる点が多数あります。
詳しくはこちら:用語集「一期日審理の原則」、よくある質問「少額訴訟とは何ですか。どのように手続きしますか。」「少額訴訟ではどのような判決が言い渡されますか。」
【参考条文】
○民事訴訟法第368条第1項
簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が六十万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる。ただし、同一の簡易裁判所において同一の年に最高裁判所規則で定める回数を超えてこれを求めることができない。
○民事訴訟法第369条
少額訴訟においては、反訴を提起することができない。
○民事訴訟法370条第1項
少額訴訟においては、特別の事情がある場合を除き、最初にすべき口頭弁論の期日において、審理を完了しなければならない。
○民事訴訟法第371条
証拠調べは、即時に取り調べることができる証拠に限りすることができる。
○民事訴訟法第373条
第1項
被告は、訴訟を通常の手続に移行させる旨の申述をすることができる。ただし、被告が最初にすべき口頭弁論の期日において弁論をし、又はその期日が終了した後は、この限りでない。
第2項
訴訟は、前項の申述があった時に、通常の手続に移行する。