債務名義は、裁判所における訴訟や調停等により取得する方法、公証役場で公正証書を作成する方法により取得することができます。
1.債務名義の種類
債務名義の主なものは、確定判決、仮執行宣言付判決、公正証書(強制執行認諾文言付)、和解調書、調停調書等です(民事執行法第22条)。
2.債務名義の取得方法
債務名義は、次の方法によって取得することができます。
2-1.裁判所における手続
裁判所における主な手続きは以下のものがあります。
①通常訴訟
通常訴訟は、主に財産に関する紛争について行われる訴訟手続です。例えば、不法行為による損害賠償を求める訴訟、貸したお金の返還請求訴訟、不動産の明け渡しを求める訴訟等があります。
②少額訴訟
少額訴訟は、少額(60万円以下)の金銭の支払いを求める訴訟です。簡易迅速に判決が得られるよう、手続きが簡素化されています。
③支払督促
支払督促は、金銭の支払いを求める場合等に限られますが、申立人の申立て内容のみにより、裁判所書記官が相手に金銭の支払い等を命じる手続きです。相手が異議を申し立てた場合、通常訴訟に移行します。
④調停
調停は、裁判所を介した話し合いの手続きです。裁判手続ではないため、話し合いがまとまらないと調停は不成立となってしまいますが、話し合いがまとまった場合、判決と同じ効力を有する調停調書(債務名義)が作成されます。
2-2.公証役場における手続
相手の協力が得られる場合、裁判手続きによらず簡易に債務名義を得る方法として、公正証書が利用されています。
金銭の支払い等について、支払いを怠った場合、債務者が直ちに強制執行に服する旨が記載された公正証書(これを「強制執行認諾文言付公正証書」といいます)は、債務名義となります。
なお、請求内容が金銭の支払いではなく、不動産登記や物の引渡し等である場合は、公正証書を作成しても債務名義にはなりませんのでご注意ください。