強制執行認諾文言付き公正証書とは、相手がお金を払わない場合に、裁判手続きを行わなくても相手の財産を差し押さえることのできる公正証書のことをいいます。
判決等を取得するための裁判手続きに比べて簡易に取得できるため、金銭債権を目的とする公正証書を作成する場合に広く利用されています。
1.強制執行認諾文言付き公正証書とは
強制執行認諾文言付き公正証書とは、相手がお金を払わない場合に、裁判手続きを行わなくても相手の財産を差し押さえることのできる公正証書のことをいいます。
本来、相手の財産を差し押さえる(強制執行する)には、訴訟を提起して判決(又は和解調書等)を得る必要があります。
しかし、公正証書が次の要件を満たせば、裁判手続きを行わずに、債務の不履行があれば直ちに強制執行を行うことができます(民事執行法第22条5号)。
①金銭の一定の額の支払い等を目的とする請求であること
②強制執行認諾文言があること
②の強制執行認諾文言とは、「債務者は、本証書記載の金銭債務を履行しないときは直ちに強制執行に服する旨陳述した」等の記載のことです。
この記載の意味は、債務者が予め、債務の不履行が生じた場合には公正証書によって強制執行を受けることを承諾した、ということです。
強制執行認諾文言付き公正証書は、養育費や借金の分割返済等、金銭債権の支払いを内容とする公正証書を作成する場合に広く利用されています。
2.債務者がお金を払わない場合の強制執行
強制執行認諾文言付き公正証書を作成した後、約定の期日に相手がお金を払わない場合、裁判所に対し、強制執行を申し立てます。
その際、執行文の付与された公正証書、公正証書謄本の送達証明書等が必要となります。