商人でない個人間の貸し借りの場合、利息について別段の合意がないときは、貸したお金に金利(利息)は付きません。したがって、貸したお金に利息を付けたいときは、別途、利息を支払うことについての合意が必要です。
当事者間で利息の合意がある場合、利息は以下の①又は②のいずれかとなります。
①利息を支払う旨の合意はあるが、具体的な利率(例えば「年〇%」等)を定めなかった場合→民法が規定する利率(法定利率)
②利率について、「年〇%」等の具体的な合意がある場合→合意によって定めた利率(約定利率)。ただし、合意による利率(約定利率)が利息制限法の定める上限利率を超過しているときは、超過部分の利息契約は無効となります。
1.商人でない個人間の貸し借りで、利息の定めがない場合
商人でない個人間のお金の貸し借りは、利息を支払う合意をしていない限り、無利息が原則です(消費貸借契約、民法589条1項)。したがって、利息の定めをしていない限り、借りたお金(元本)だけを返済すればよいことになります。
もっとも、返済期日までに返済がない場合、利息の定めをしていなかったときでも、民法の規定する法定利率に基づく遅延損害金が発生し、その支払い義務が生じる点には注意が必要です。
2.商人でない個人間の貸し借りで、利息の合意はあるものの、具体的な利率を定めなかった場合
利息をつけて返す旨の約束はしたものの、「年何パーセント」といった具体的な利息の定めがない場合、民法の定める法定利率による利息が発生します(民法404条)。
なお、民法の定める法定利率は、2020年4月の民法改正により、年3%とされ、今後3年に一度見直されることになっています。
3.商人でない個人間の貸し借りで、具体的な利率の定めがある場合
例えば、利息の定めとして、具体的に「利息 年5%の割合」と定めたような場合です。この当事者間の合意による利率を約定利率といい、約定利率の定めがある場合は、法定利率よりも約定利率が優先します。
ただし、無制限の約定利率を認めると、お金を借りる人に酷となってしまいます。
そこで利息制限法により、下記のとおり利率の上限が定められており、この上限を超える部分は無効となります(利息制限法1条)。その場合でも、金銭消費貸借契約そのものは原則として有効であり、利息制限法の上限を超えない部分の利息は支払う必要があります。
貸付元本 |
利息制限法の上限利率 |
---|---|
10万円未満 |
20% |
10万円以上~100万円未満 |
18% |
100万円以上 |
15% |
なお、年109.5%の割合を超える利息を定めた場合、個人間の貸し借りでも、出資法に違反し、刑事罰が科せられます。
参考条文
民法
(法定利率)
第四百四条 利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、その利息が生じた最初の時点における法定利率による。
2 法定利率は、年三パーセントとする。
3 前項の規定にかかわらず、法定利率は、法務省令で定めるところにより、三年を一期とし、一期ごとに、次項の規定により変動するものとする。
4 各期における法定利率は、この項の規定により法定利率に変動があった期のうち直近のもの(以下この項において「直近変動期」という。)における基準割合と当期における基準割合との差に相当する割合(その割合に一パーセント未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)を直近変動期における法定利率に加算し、又は減算した割合とする。
5 前項に規定する「基準割合」とは、法務省令で定めるところにより、各期の初日の属する年の六年前の年の一月から前々年の十二月までの各月における短期貸付けの平均利率(当該各月において銀行が新たに行った貸付け(貸付期間が一年未満のものに限る。)に係る利率の平均をいう。)の合計を六十で除して計算した割合(その割合に〇・一パーセント未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)として法務大臣が告示するものをいう。
(消費貸借)
第五百八十七条 消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。